大量服薬や酩酊状態の患者は医療保護入院で入院が可能かどうか

Q:大量服薬や酩酊などで患者の意識状態が悪く患者の現在の精神状態が確認できない場合、家族の話だけから病状を推定し、医療保護入院にすることができますか?

A:できません。酩酊していたり、大量服薬による意識障害があって、病状の確認も本人の同意の意思の確認もできない場合は、医療保護入院とすることはできません。これは昭和63年の「アルコール症者および酩酊者の入院取扱いについて」という通知の中で、「診察も、本人の同意の意思確認もできないときは、人権保護の観点等から、この状態のままで本人の同意のない入院形態をとることには問題がある。」と明記しています。大量服薬による意識障害はある場合は、内科病院などにて適切な処置を受けた後で、意識状態が改善してから精神科的診察を行い、その上で入院が必要な場合に精神病院に入院する、ということになります。

まとめ

この考え方は、患者の人権を尊重し、適切な医療ケアを提供するために重要です。

大量服薬や酩酊状態では、医師は患者の精神状態を適切に評価することが困難であり、その結果、適切な治療が提供されない可能性があります。

さらに、この状態では、患者は自身の医療についての情報を理解し、同意する能力を持っていない可能性があります。

したがって、このような状態の患者は、まず内科病院などで必要な医療処置を受け、その後、意識が改善してから精神科的診察を受けるべきです。

このような手順をふむことにより、患者の病状を適切に評価し、適切な治療計画を立てることができます。

→患者本人が受診を拒否する場合