障害福祉サービスを利用する
生活の営みを支援する制度として、障害者総合支援法という法律が定められており、その中に様々な障害福祉サービスがあります。生活の営みを豊かにするために、状況に応じて、障害福祉サービスの利用を検討していくことも必要になってくるでしょう。
障害福祉サービスは介護給付と訓練等給付に分けられ、必要なサービスを選択して利用します。
障害福祉サービスのイメージとして非常に似ているのが介護保険の制度です。障害福祉サービスは介護保険のサービスと同じように、区分認定によって利用できるサービスが決まります。介護保険の場合は要支援1.2要介護1~5という介護度に分けられ、介護度に応じたサービス、利用できる介護サービスの量が決定します。介護保険と同じように、障害福祉サービスを利用する際は障害支援区分認定を受け、区分1から区分6までの区分認定を受ける必要があります。
障害区分認定とは
障害区分認定は、心身の状況に関する80項目の調査を行い、市町村審査会での総合的な判定を踏まえて市町村が認定します。
調査の結果、区分1~6 と 非該当 の認定結果が出され、どの区分に判定されるかによって、利用できる介護給付が変わります。
区分認定の有効期限は原則3年です。
障害福祉サービス利用の流れ
障害福祉サービスを利用しようとした際、まずはお住まいの市町村の窓口に相談に行きましょう。障害福祉課という名称の窓口で取り扱っていることが多いです。障害福祉課の窓口で相談、申請をすると、生活状況や障害の状況についての聞き取り調査が行われます。前述した障害区分の認定調査がこれにあたります。
調査の結果が審査会にかけられ、障害支援区分が決定されます。障害福祉サービスを受けるために必要なサービス受給者証がこのタイミングで発行されます。
受給者証が発行されて、実際にサービスを使うために、サービス利用計画という計画を必ず作成する必要があります。介護保険の場合でいうケアプランがこれにあたります。介護保険の場合はケアマネージャーがケアプランを作成し、介護保険のサービス調整を行います。障害福祉サービスを利用する際も、介護保険と同じような流れがあり、ケアプランにあたるサービス利用計画を立てる必要があるのです。サービス利用計画については自分で計画を作成する方法(セルフプラン)と、計画相談という障害福祉サービスを使い、相談支援事業者にサービス利用計画を立てもらう方法があります。
どちらの方法でも障害福祉サービスを使うことができるようになるのですが、継続したサービスの見直し、継続した相談ができる相談支援事業所に計画相談で介入してもらう方法がお勧めです。
多くの行政では計画相談で相談支援事業所にサービス利用計画を立ててもらう方法を推奨しています。
相談支援事業者とは
相談支援事業所では障害のある本人や家族、関係機関からの相談に応じています。関係機関との連携をとり、本人の生活する地域において、安心して生活できる支援体制をつくることを目的とします。
日常生活で困っていることや余暇活動、権利擁護など幅広い相談に応じます。そして、福祉サービスの利用等に関する情報提供やアドバイス、関係機関への連絡調整などを行います。
個別の支援が必要な方には、相談支援専門員が、計画相談の仕組みを用い、地域における生活を全体的・効率的に支援します。自宅訪問や外出同行などによる支援が多く行われますが、障害者施設や精神科病院に入所・入院している障害者の支援も行うことができます。
相談支援事業所はアルコール依存症の人も利用できるか
アルコール依存症は精神障害であるので、例外なく相談支援事業所を利用できます。相談支援事業所利用の対象となるのは、身体・知的・精神の障害者や障害児、また難病患者も含まれます。
相談支援事業所は具体的に何をしてくれるのか
本人が、退院後に、日中活動の場として作業所(就労継続支援B型)等の通所を予定していたり、ヘルパー(居宅介護)利用を予定している場合、面会に伺い、相談に応じることができます。相談支援事業所は、地域における生活を支援するために、サービス等利用計画(案)を作成します。
また、長期(1年以上)入院していた方が退院する方向となった場合には、地域移行支援・地域定着支援という福祉サービスが利用できます。『退院に向けたサポート』と『退院後の見守り』を病院と連携しながら行います。
サービス等利用計画の例
障害福祉サービスを利用するには、このようなサービス利用計画を作成する必要があります。
セルフプランで作成するよりも、相談支援事業所に作成してもらうほうが負担は少ないでしょう。