措置入院とはどういった入院形態か
措置入院とは、患者本人に対して行政が命令して入院させるものです。
これは精神疾患のために「自傷他害の恐れ」、つまり自分自身を傷つけたり、他人を傷つけたり、何らかの迷惑・犯罪行為をする可能性が高い場合に、行政が患者に命令して、行政措置として入院を強制するものです。
病院と入院契約を交わすのは、患者本人でも家族でもなく、行政です。
しかもこれは強制的な命令であって、患者本人の意志も、家族の意志も、関係ありません。
このような極めて強制力の強い入院であるために、その条件はかなり厳しく、実際上は何らかの犯罪行為、違法行為を犯して警察ざたになった場合が多くなります。
行政が患者を病院に連れてくるという行動に出る前に、「通報」が必要なのですが、それは以下の3つの場合があります。
●一般市民による通報(23条)
●警察官による通報(24条)
●検察による通報(25条)
いずれの場合でも、関わった人が「どうも精神疾患がありそうだし、危ない、このままだと自傷行為や他害行為をしそうだ!」と判断したときに、通報するということになります。
措置入院が成立する条件
要約すると、措置入院は以下の条件があるときに成立します。
●精神疾患があって、そのために自傷行為や他害行為をしてしまったか、あるいは今後する危険がかなり高い。
●保護した警察官、検察、一般市民などからの通報があって行政が動き患者を病院に連れてくるに至る。
●精神保健指定医2名が診察し、2人そろって「精神疾患があり、そのために自傷他害の危険性が高い」と診断される。
●その診察結果を受けて都道府県知事あるいは政令指定都市市長が行政措置として入院を命令する。
措置入院は、上記のような非常に厳しい条件で、自己や他人に危険性のある場合に保護・収容する目的でなされるものでもあるために、それ以外の入院とは違い、基本的に入院中の外出や外泊は大きく制限されます。
つまり、相当な医療的保護監視のもとではないと、病院外に出ることさえできないのです。
また医療保護入院と同様に、場合によっては隔離・拘束などの行動制限を使用することもありますが、これも医療保護入院の場合と同様な一定のルールのもとで実施することになります。