介護保険適応病床における身体拘束の考え方

Q:老人性認知症病棟で介護保険の適応病床では、身体拘束や行動制限ができないと聞いたのですが、どうなのでしょう?

これは「指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準」において、指定介護療養型医療施設においては、「指定介護療養施設サービスの提供に当たっては、当該入院患者又は他の入院患者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入院患者の行動を制限する行為を行ってはならない。」という規定があることが関係しています。

ここで「生命又は身体を保護するためにやむを得ない場合」とは具体的にどのような基準でどこまでの行動制限をすべきかというガイドラインが精神保健福祉法関連通知ほどには明確ではなく、あまりはっきりとはしません。

しかしつまりは介護保険で入院してくるような患者は、もともと「医療」の範囲外であるので「介護」とされているのであって、だから、なかなか医療や治療に必要な範囲内で使用すべきである行動制限は使いにくいということになります。

身体拘束は介護保険と精神保健福祉法で異なる

なお、介護保険の言う「身体拘束」は、精神保健福祉法の言う「身体拘束」とは若干定義が違います。

精神保健福祉法では「身体拘束」には含めない、車椅子の脱落防止ベルトや「つなぎ服」、ベッド柵、などまでが介護保険の言う「身体拘束」には含まれてくるので、この点でも注意が必要です。いずれにしろ、「緊急やむを得ない場合」に身体拘束を行う場合には介護保険のガイドラインが勧める告知書と計画書をつくりながら実施していくべきでしょう。

→通信や面会の制限について